食べ物記者 齋藤訓之

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タマシギ

 タマシギという鳥がいる。実物は見たことがないが、「野鳥」(ヤマケイポケットガイド)という小さな図鑑で写真を見た。オスもメスも、丸く張りきった毬のような形をしていて、どちらも同じように可愛らしい。けれど、その本には「雌の方が美しいシギ」と書いてあるから、実物を見ると見栄えに差があるらしい。鳥はだいたい、クジャクなどのようにオスの方が派手なものだが、この鳥の場合、そうではない。メスとオスが逆なのだ。

 タマシギ、メスとオスで逆転しているのは、外見だけではない。

 タマシギのメスは、夜、大きな声でオスを呼ぶ。それで翼を広げてディスプレイを行う。これ、ほかのほとんどすべての鳥では、オスがやることだ。

 巣はオスが作る。メスはそこへ産卵する。産卵すると、メスはさっさとそこを去り、別なオスを探す。たいしたものです。

 卵を温め、雛を養うのはオスの役目と。がんばれオスのタマシギ。

 生物学的な意味で子供を産むということはメスにしかできないわけだけれど、そこに至るプロセスや、その後のプロセスと役割などというのにはいろいろなものがあって、どのプロセスと役割分担が生物界の理(ことわり)というわけではないということがわかる。

 とりわけ、人間というのは、それぞれの役割を後天的に決定しているわけで、ならばなおのこと、「男は外で働くもの」「女は家にいるもの」と、それが宇宙の意思として決まっているかのように言うのは全くの間違いなのだ。勉強が足りない。

 ただ、どの役割を演ずるにせよ、やると決めた役割は責任持ってしっかりやらないとね。

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