食べ物記者 齋藤訓之

農業、食品、外食に関するビジネスの記者・編集者、齋藤訓之(さいとう・さとし)のWebサイトです。

渡邉美樹社長は「夢教育」を訴える

[caption id="attachment_1154" align="alignright" width="144"]渡邉美樹社長 渡邉美樹社長[/caption]

 1月19日、JOHF(Japan Organic Heart Farmers-Food-Family、事務局長ワタミファーム武内智社長)第10回生産者会議で、ワタミの渡邉美樹社長のスピーチから。

 ――先日、「下流社会」を書いた三浦展さんと対談をしました。そのお話から、日本の将来を心配しています。下流社会というのは、年収が年齢の10倍未満などの特徴を持った人たちを指しますが、単に収入が少ないということではない。彼らには夢がないのです。

 2007年の就職活動が始まりましたが、この年度の大卒人口は55万人になります。ところが、そのうち実に20万人が働こうとしていない。また、最近高校生や自然学校に集まった小学生たちと話していても、彼らは何をしたい、何になりたいというものがない。夢を持っていない。

 一方、NPO法人スクール・エイド・ジャパンを通じてカンボジアに小学校を作る活動をしていますが、カンボジアの子供たちに会うと夢がたくさん出て来ます。「先生になりたい」「医者になりたい」「地雷除去の仕事がしたい」などなど。彼らは、夢を持たなければ生きていけない。そこまで貧しいのです。

 日本でNEETやフリーターの増加が問題になっていますが、これは欧米では20年も前から起きている現象です。豊かになった国の人は、欲が満たされている。だから夢を持たなくても生きていけるようになった。

 でも、それでいいのか?

 満たされているのは、自分の欲です。これから大切になるのは、他の人の欲を自分のものに出来るかどうかということ。

 団塊の世代の親の多くが子供に言って聞かせる共通のせりふがある。「何をしてもいい。ただ、人に迷惑をかけるな」。そう言われてきたから、自分のことしか考えない。働こうと思わない。あるいは引きこもる。

 人に迷惑をかけなければ何をしてもいいなんていうことは、全く間違いです。

 世の中はこうなっている。地球はこうなっている。豊かな国と貧しい国がある。豊かになった国の人は、貧しい国の人が豊かになれるように働く役割がある。そういうことを、若い人たちにきちんと教えなければならない。

 パンを食べようとして、もし目の前に飢え死にしそうな人がいれば、誰だってパンをあげます。人間は本来優しいもの、いいものです。無関心でいられるのは、心をシャットダウンしているから。夢のない若者は、社会を知らない。知らないから関心を持たない。しかし、現実を知り、関心を持てば、愛が芽生える。すると夢を持つ。スイッチオン。そのとき、もともと彼らには力があります。その能力を発揮し始めるのです。

「夢教育」が大切なのです。――

(スピーチの一部の骨子)

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