食べ物記者 齋藤訓之

農業、食品、外食に関するビジネスの記者・編集者、齋藤訓之(さいとう・さとし)のWebサイトです。

「コンプライアンス」なんて英語使わなくても

[caption id="attachment_1156" align="alignright" width="144"]物入れの中身が火を噴くと…… 物入れの中身が火を噴くと……[/caption]

 東横インが、身体障害者用の施設や駐車場を開業時には設置して完了検査をパスし、直後に撤去し客室や喫煙コーナーなどに改造していた問題。

 身体に障害がある人にも支障なくホテルを利用してもらう方法はハードの整備しかないわけではなく、ソフトでも対応できる。だから、このことだけで身体障害者に不利益を強いたとは言えない(問題となった身体障害者用の施設や駐車場を必要とするお客が宿泊した場合にどんなサービスをすることになっていたのか、あるいはしたのか、その点は気になるところ)。最大の問題は、みんなで決めた法律や条例を守らなかったことと、ルール軽視のわが身がひとからどう見られるのかに対する鈍感さ。

 実害が出なかろうと見えなかろうと、きちんと法規に従って企業活動を行う。そういう当たり前の癖が経営者なり従業員に身に着いていれば、こんなことにはならない。

 笑ってばかりではいられない。街には同じような、あるいはもっとタチの悪い例は山ほどある。

 レストランや居酒屋に行ったら、それとなく配電盤を探してみる。その前1.2mは物を置かない約束になっているのに、酒瓶が積んであったり、ひどければ客席になっていたり、悪質な店では木製のロッカーとして囲われ、中にユニフォームなど衣類が山積みになっていたりする。――出火時にはどうなるのか。

 厨房には、調理用のシンクとは別に手洗いの設置が義務付けられているのに、逆性石鹸のボトルは空になり、ボウルは雑巾置き場になっていたり、ひどければ撤去されていたり。――外から帰った後なりトイレの後なり、その手を調理用シンクで洗うとどんな料理ができるのか。

 コンプライアンス経営がわかっていない、とも言えるけれど、これらはルール以前の問題。問われているのは、ビジネスの流行語を知っているかどうかなんかではなくて、その人の想像力だ。

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