食べ物記者 齋藤訓之

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そばスタンド、静かなるお尻テロ

[caption id="attachment_1190" align="alignright" width="192"]線路はどこまでも続くわけではなかった 線路はどこまでも続くわけではなかった

 学生の頃、帰省に急行列車を使うと安く上がることを覚えて何度か使った。19時とか20時頃上野を出て、翌朝青森に着く。座り心地の悪い椅子で12時間も揺られるのできつかったけれども、なんだか面白かった。

 国鉄がJRに変わる直前だったか直後だったか。向かい合わせに座った人の話をよく覚えている。

 20代後半ぐらいの男性で、仕事を休めることになって帰省するところだった。

 国鉄で働いていた。車掌として列車に乗務することを夢見て入社した。ところが、民営化に伴って、鉄道に直接携わる部門から外された。

 そばスタンドでそばを茹でているという。外食に携わろうと思って入った会社ではないので、納得のいかない毎日を過ごしていた。

 朝、店に入って最初にすることは、巨大な釜に火を入れてお湯を沸かすこと。湯が沸くまでは、することがない。冬場は寒い。それでその人、お湯が沸くまで釜にお尻を付けて待っていたのだという。

 そうやって沸かした湯で調理したそば。さぞや、怨念のこもった味がしたに違いない。

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