食べ物記者 齋藤訓之

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北野誠氏への仕打ちが私刑であれば許されない

わかれ道ね。青の次は黄色、黄色の次は赤。行く先は右か左しかないものか
わかれ道ね。青の次は黄色、黄色の次は赤。行く先は右か左しかないものか

 言ってはいけないことはある。もちろん。たとえば、なんら落ち度のない人や団体を根拠なく侮辱したり、恐怖を与えるようなことは言ってはいけない。言えば社会的にも制裁を受けるし、名誉毀損や脅迫・強要の罪に問われることもある。

 でも、刑事罰を受けるなら、必ずその罪状は明らかにされる。社会的な制裁を受けるなら、当然、それは人々が事情を知っているということになる。いずれにせよ、社会共通の正義によって公明に裁かれる。それが民主主義社会というものだ。

 今般の北野誠氏を世間から排除する動きは、上記の縛りを受けず、全く自由気ままに行われ、事情は完全に隠蔽されている。これは本当に驚くべきことだ。

 この間の入手できる情報の範囲で考えるしかないとすれば、北野誠氏を世間から排除する企てには、憲法が禁じる私刑の疑いを感じさせる。あるいは、所属事務所や放送局との契約に基づいて、その規定や判断に従わざるを得ないのだとすれば、その契約や規定は公序良俗に反している疑いを感じさせる。私にはそう見える。北野誠氏を排除しようと企てている人々は、まずそうではないことを、きちんと筋道を立てて説明し、弁明すべきだ。

 これが放置され、一般の我々がこれを受け容れてしまえば、日本に言論の自由はなくなる。誰も知らない言ってはいけないことがあり、しかもそれがなんであるかはわからない。これは「口裂け女」や「トイレの花子さん」のような怪談であり、見てはならない近づいてはならないポルノグラフィーでもある。言いたいことを言う、書きたいことを書くことは、ポルノになるのだ。

 誰も知らないNGワード。それを言ったら、明日から仕事はない。それが私たちが生きる国のことだったとは。

 私は北野誠氏の言動を100%支持するわけではない。でも、今の彼の扱われ方とこれからのことには大いに興味がある。

 ねえ、あなた。日本には Big Brother がいるのだよ(たぶん複数なので Big Brothers か)。自分のことしか考えられない人間が寄せ集まると、全体が Big Brother のようなリバイアサンとして動き始める。Big Brother の意に背く者のところには、Fireman がやって来る。作品は焼かれ、不祥事の下手人は抹殺されたことにされ、平穏が演出される。そして、演じる者、語る者、観る者、聴く者、その場を作る者、金を出す者、それぞれに Big Brother の支配に荷担している者がいる。たくさんいる。

 合い言葉は、「私じゃなくてよかった」。

 あなたは、Big Brother のために、演じるのか? 語るのか? 観るのか? 聴くのか? その場を作るのか? 金を出すのか? そのいずれかが悪いと断ずる気はないけれど、私にはどうしたってほめられないことはある。どうするにせよ、その意味を理解してすることだ。

 志ある者は立つべし。自らの行動を律し、記者と代議士を怠けさせるな。正しい世界を取り戻すべし。

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