食べ物記者 齋藤訓之

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鎌倉の大仏はひたすら坐る

[caption id="attachment_1240" align="alignright" width="192"]鎌倉の大仏 鎌倉の大仏[/caption]

 鎌倉の高徳院に大仏参りに行ったときのこと。境内の大きな石の上に、若い白人男がだらしなくかつ偉そうに仰向けに寝ていた。

 金髪にミラーコートのサングラス。Gショック風の時計を巻いた腕はTシャツの両袖を肩にたくしあげている。腹も出していて、ウエストポーチのあたりで金色の腹毛が風になびく。パンツの裾も膝までまくりあげ、足許は金色の脛毛だらけ。

 神仏の前でなんたる無作法。見るからに腹が立って、頭に血が上ってくる。この慮外者めがと一喝してやりたい衝動にかられた。

 たくさんの参詣者の往来の中、礼というものを解さない白人と、それを見て怒りが込み上げてしまっている私と。

 ふと、膝元にそんな我々二者を擁した巨大な阿弥陀如来像に改めて気付く。大仏は動じる気配なく、黙して語らず、ただただひたすら坐っている。

 かなわないと思った。

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