食べ物記者 齋藤訓之

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ケニアの「おいたわしや」

[caption id="attachment_1249" align="alignright" width="192"]公園の死んだシマウマ 公園の死んだシマウマ[/caption]

 ナイロビでの最終日の夕食のこと。2~3日前、カーハヤのドライバー、ジョゼフが「何が食べたいか」と聞くので、「ケニアの人たちが食べるものが食べたい」と答えていた。ジョゼフ、これを「ケニアでしか食べられないものが食べたい」と受け取ったらしい。連れて行ってくれたのは、「CARNIVORE NAIROBI」というレストラン。なんと野生動物のバーベキューを食べさせる店。

 違うんだ。オカラを握ったような食べ物があると聞いていたんだ。どんな味かわからないけれど、そういうケニアのみんなにとってのお袋の味とか誕生日の味とかが食べたかったんだ。肉なんか別に興味はないんだ――そう言おうかとも思ったけれど、予約もしてしまっているようだし、彼なりにベストと考えてくれたようなので、「ま、これも経験か」と観念して店に入る。

 ちょっと場末の学園祭の雰囲気もある、にぎにぎしい外観のその店。欧米の観光客の定番コースであるらしい。シュラスコスタイルのバーベキューで、席に着くとさっそく鉄串にささった大きな肉の塊を抱えてウエイターがやってきた。

「ジラ~フ」

 と言いながら、肉の塊から一口分の大きさに二切れほどカットし、皿に盛ってくれる。おいたわしや、キリン君。僕は君たちを観に来たのであって、食いに来たのではないんだけど――そう念じて、口に入れる。

 まずくはないけれど、うまくもない。筋っぽいというほどではないけれど、ややぱさついた感じの、何でもない焼いた肉だ。店の看板には、「タマリンド」なんて書いてあったからどんな味付けになっているのかと思ったけれど、なんだかよくわからない。これ、食べ物のタマリンドではなくて、会社名だったらしい。

「ズィ~ブラ」

 今度はシマウマ。他にも次から次にやって来て、確か4種類か5種類ぐらいのかわいい動物たちを食べさせられた。かわいくはないワニも。どれがどんな味ということもない。ないということもないかも知れないけれど、覚えていない。

 おいしくなさそうに口を動かしていたら、ウエイターたちもしらけてしまったらしい。だんだん愛想がなくなってきた。申し訳ないこと。

 外に出ると、ジョゼフが「うまかったか」とニコニコしている。ウソをつくことなく彼のプライドを傷つけないためには、やはり彼ら地元のみんなが行く店に連れて行ってもらうべきだった。

[caption id="attachment_1250" align="alignnone" width="560"]本当に住んでるところに行きたかった 本当に住んでるところに行きたかった[/caption]

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