食べ物記者 齋藤訓之

農業、食品、外食に関するビジネスの記者・編集者、齋藤訓之(さいとう・さとし)のWebサイトです。

私家版出張術 III 宿泊編

 どんなところに、どうやって泊まるか。

●宿の選び方

[caption id="attachment_1485" align="alignright" width="192"]よい宿に泊まる よい宿に泊まる[/caption]

 宿の選び方は人によってさまざまだけれども、多少無理をしても高いホテルに泊まった方がいい。会社から支給される宿泊の手当てに1泊当たり3000~5000円の小遣いを足せば、結構良いホテルに泊まれるはずだ。

 もったいないと思ってはいけない。これは投資なのだ。

 1泊9000円ぐらいよりも高いホテルだと、ベルボーイが荷物を持ってくれたり、部屋の説明をしてくれたり、朝刊が入ったりと目に見える部分で違いが出てくる。

 そんな、目に見える違いのほかに、「ここでは大事にされているな」と気づくことができる場合が多い。ここが肝。「大事にされている」と自分で感じた経験がなければ、ひとに「大事にされている」と感じさせることはなかなかできない。

 だから、ホテルでもレストランでも、なるべく「大事にされている」と感じさせてくれるようなところを選ぶ。そういう経験の積み重ねで、ひとに「大事にされている」と感じさせることができる人間に成長しやすくなる(現在の筆者がどのようであるかは棚上げ)。

 効果はもう一つある。出張先では、仕事の相手から「お泊りはどちらですか?」と聞かれることが多い。ここで安宿の名前を口にして、相手ががっかりしたような顔になったり、小馬鹿にしたような表情を浮かべたり、同情めいたことを言ってくれたりしたら、どうだろう。

 そんなことは全然構わないという堂々とした人ならばいいけれど、たいていの人はそこで恥ずかしくなったり、卑屈になってしまう。こういうマイナスの感情は、仕事にも良い影響は与えない。

 ただ、小遣いにも限りはある。2泊以上の出張の場合、1泊は高いホテル、他は安いホテルなどとしてもいい。

●宿の取り方

 宿は予約しておくに越したことはない。

 泊まりたいホテルそのものに電話して予約するのが一番手っ取り早いが、この場合損をすることも多い。

 たいていのホテルが、年間のほとんどの期間、なんらかのキャンペーンや割安なプランを設定しているからだ。「○月○日、1名1泊したい」と伝えただけでは、正規料金で予約を受け付けるだけで、割安な料金設定があっても教えてくれないのが普通だ。

 同僚に、ホテルに電話するたび、いつも「高いなー。何か安いプランとかやってないんですか?」と聞く人がいて、これはこれで結構な成功を収めていた。けれども、ちょっと勇気がいる。

 今は、インターネット上のサービスで予約すれば、こうした割安プランは簡単に見つけることができるので、もちろんそういうものを使うのがいい。

 ところで、いつでも余裕を持ってホテルの予約ができるとは限らない。急な出張や、毎日どの町まで進んでどこに泊まるか、その日になってみないとわからないという場合もままある。

 そんな場合、夕方、駅周辺で看板や電話帳を見ながらあちらこちらに「今日泊まりたい」と電話しても、「予約がいっぱいで」と、なかなか宿が取れない場合がある。

「ウィークデーにホテルが満室なんて」と思ってはいけない。ビジネスホテルは、ウィークデーの方が込んでいるのだ。

 こうした場合の解決策は三つある。

 一つ目。まず、駅にある宿泊案内所に相談する。6時頃店じまいをするところが多いので、夕方、その町に泊まると決まった段階で、すぐに行ってみること。

 宿の種類などで贅沢を言わなければ、その場であちこちのホテルに電話してくれて、まず間違いなく屋根と布団のある場所を確保してくれる。手数料等は取られない。

 二つ目は、電話ではなく、直にホテルに行って、「今夜泊まりたい」と告げること。電話で申し込んで断られたホテルでも、実際にホテルまで足を運べば、案外すぐに受け付けてくれることがある。

 ここで「電話では断られたのに」と嫌味を言ってはいけない。お互いにいいことは何もない。

 電話だと「no-show」(予約を入れたのに来ないこと)を恐れて、部屋を出したがらないことがあるが、目の前にちゃんとお金を払いそうな顔のお客がいれば、受け付けるものなのだ。また、面と向かって断りにくいという心理も働くのかも知れない。

 三つ目は最後の手段。21時まで、お茶なりビールなりを飲みながらじっと待つ。21時になった瞬間に、ここぞと思うホテルに再度電話して「今夜泊まりたい」と告げる。するとあら不思議、「かしこまりました」と返ってくるではないか!

 これは、21時までは「旅行代理店様」のためにある程度の部屋数を空きのまま確保していて、21時以降は売っ払ってしまっていいという約束事があるかららしい。

 私の場合、過去20年間に、以上三つの方法を使って野宿になってしまったということは一度もない(農家と深酒して朝5時にホテルに転がり込んだときはさすがに断られたけど)。

 ちなみに、第3の手段があまりにもギャンブルっぽくて心配だという場合は、カプセルホテルやサウナの仮眠を当たること。こちらはホテルよりは取りやすい場合が多い。

●洗濯

[caption id="attachment_1486" align="alignright" width="192"]洗面台でワイシャツを洗う 洗面台でワイシャツを洗う[/caption]

「準備編」で、ワイシャツは2枚だけ持てばいいと書いた。これは、毎晩洗濯することが前提だ。

 そこで、部屋でワイシャツを洗濯する方法。

 まず、洗面台のボウルにぬるま湯(体温よりやや高く、風呂の湯としては冷たいと感じるぐらい)を張って石鹸水を作り(バスルームにある普通の石鹸を使えばいい)、ワイシャツを浸す。襟、袖口、脇の下など、汚れやすい部分だけさっと揉んでおく。

 このまま、ビールを飲むなどして30分~1時間放っておく。

 その後、絞って、ぬるま湯に浸して、の工程を数回繰り返してすすぐ。

 ベッドの上にバスタオルを広げ、その上に軽く絞ったワイシャツを広げる。バスタオルの端から、ワイシャツごと絨毯を巻くように巻いていく。全部巻いたら、一端を足で踏み、反対側を手でよじる。あまり強くよじるとワイシャツが傷む。

[caption id="attachment_1487" align="aligncenter" width="192"]洗ったワイシャツをバスタオルで包む 洗ったワイシャツをバスタオルで包む[/caption][caption id="attachment_1488" align="aligncenter" width="192"]クルクル巻いて、ギュッと搾る クルクル巻いて、ギュッと搾る[/caption]

 広げてハンガーに掛け、皺を伸ばしたら、エアコンの風が当たる場所につるす。

 ホテルの空気は乾燥気味の場合が多いので、朝までにはカラッと乾いている。

 なお、プレスは面倒なので、ワイシャツは形態安定タイプを選んでおく。

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