食べ物記者 齋藤訓之

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店の挨拶はなぜ「おはようございます」なのか

[caption id="attachment_1503" align="aligncenter" width="144"]おはよー! おはよー![/caption]

 飲食店のスタッフ同士の挨拶は、「おはようございます」であることが多い。昼でも、夜でも「おはようございます」。花柳界に起源があるらしい。それがかたや芸妓から芸能界へ、かたや茶屋、料理屋から広く飲食業界へ、受け継がれたのだと推測する。しかし、なぜ、真っ昼間でも夜中でも「おはようございます」なのか。

「いつも朝の新鮮な気持ちで当たるため」といった説明をする人が多い。それも、確かにあると思う。発祥がどうであるとにかかわらず、その気持ち、雰囲気で「おはようございます」を挨拶の標準として受け継ぎ、使い続ける動機の一つにはなっていると思う。

 発祥については、私は別なことを考えている。

「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」の中で、唯一「おはようございます」だけが、「ございます」という丁寧語を含んでいる。一方、「こんにちは」「こんばんは」は、「今日はご機嫌うるわしく存じ奉ります」とまでも続けなければ、敬語を含んだ表現にならない。「おはようございます」だけが、それだけで相手(聞き手)に対する敬意を表している。

 高校時代の昼休み、亀浦神父にコーヒーをごちそうになろうと、師の部屋に行ったとき。いつものように開いた扉をノックしながら「こんにちは」と言おうと思ったところが、口から出た言葉が「おはようございます」になってしまった。敬意があると、自然と「ございます」付きの言葉になるのだなと思った。

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