食べ物記者 齋藤訓之

農業、食品、外食に関するビジネスの記者・編集者、齋藤訓之(さいとう・さとし)のWebサイトです。

千本松牧場のチーズが「もったいない」という話

千本松牧場。いつもにぎやかで楽しそう
千本松牧場。いつもにぎやかで楽しそう

 那須塩原の「千本松牧場」、西那須野塩原インターチェンジを下りてすぐに広大な農場があるということで、行楽の行き帰りにも人が集まり大人気。

 以前訪ねたとき、牧場の奥の方まで入らせてもらって、牛舎も見せてもらった。穏やかで目つきのいい牛たちで、短時間の間の見聞のことだけれど、よさそうな牧場だと思った。

 ぜひ改善したほうがいいなと思ったのは、チーズの販売。バジェットタイプのもののほかに、高級品のラインがある。前者は売場でどんどん試食させているけれど、後者は包装してあるものが並んでいるだけで、何がいいのか分からない。

「これはどんなチーズなんですか?」

 と聞いても、売場のパートさん(たぶん)、苦笑いするだけで答えられない。味を口で言うのは食い道楽でなければ言うのも聴くのも難しい。まあ無理もない。

 一緒にいた人が見かねて、「これは試食できないの?」と尋ねた。答えは予想していたものだけれども、言われてみてやっぱりずっこけた。

「これは、高価なものなので……」

 失敗したくないので、もちろん買うのはやめて、当たり障りのなさそうな菓子類をあれこれ買って帰って来た。

 この場合、考えるべき点は二つ。この売場には強力な食い道楽を配置するべきだった。もう一つは、高価なものだからこそ、売り手の損もさることながら、買う人が損をしないように、安心できるようにということを配慮しなければならない。

 まあ、あの売場で高級品の試食なんかさせたら、どうなるかは目に見えている。と考えると、つまり立地・売場と商品が釣り合っていないということ。

 しかしこう、あれだけちゃんとした牧場に、いろいろな安っぽい遊具、アトラクションがほとんど無秩序に増殖しているあたり、やっぱり田舎の名所なのだなと感じながら帰ってきた。売場に合わないチーズがあるちぐはぐさも、その延長で納得するべきなのかもしれない。

 ちょっと、もったいない。

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