私家版出張術 II 移動編

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飛行機

出張の移動について。

●移動する時間帯

 移動している間は、資料を読んだり考えごとをするぐらいはできるけれども、遠くにいる人に会うとか現地で何かをするという、出張でしかできない仕事ができる状態ではない。従って、移動時間は“死んだ時間”と考える。

 この死んだ時間を9時~17時という、一般の人が働いているおいしい時間帯に持ってくるのは非常にもったいない。移動時間は、可能な限り17時~9時の間に持ってくるようにするのが効率的。

「就業時間以外に拘束されるのは嫌だ」という人は、好きな職業に就いていない可能性がある。

●移動の基本

 なるべく早い時間に、なるべく目的地の近くに到達するようにプランを立てる。

 たとえば、後発の特急が、先発の急行に目的地で追いつくという場合、できるだけ先発の急行を選ぶ。途中で天候異常、事故等で不通となった場合、その段階でなるべく目的地に近い位置にいた方が、一般にその後の移動手段の選択肢が多い。

●飛行機の使い方

飛行機

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 せっかく飛行機に乗るなら、景色のよい窓側がいいに決まってる(「通路側の方が景色がいい」と言う人もいるが、勝手にしてください)。ただし、到着後の行動を急ぐ場合は通路側に座らないと、着陸後すぐに降りることができない。

 急ぐ場合は通路側の席を指定し、機体が止まったらすぐに出口へ向かう。余裕がある場合は窓側の席を指定し、ゆっくり降りる。

 窓側に座っていたのに、早く降りようと座席の間に体を屈めて立って、列に空きができるのをうかがっているのは見るからに貧乏くさい。列がほとんどなくなるまで座って待っていた方が楽。

 搭乗する際は逆。窓側の席を指定したら、搭乗口に順番待ちの列ができ始めたら列に加わり、速やかに搭乗する。通路側の席が埋まった後で窓側の席に座ろうとすると、座っている人に一旦席を立ってもらうか、恨めしそうな目で見つめられながら狭い所を通るかしなければならない。

 逆に、通路側の席を指定した場合は、なるべくゆっくり搭乗するのが、隣席の人に親切というものだ。

 乗り物酔いしやすい人は、機内の中央付近の座席を指定する。最後尾、特にエンジンが尾翼付近に集中しているタイプの機種の最後尾は、遊園地のアトラクション並みの上下動とエンジン音の変化が利く。このエリアに座っていてゲーゲーやっているネクタイ姿を何度か見た。

 荷物は、よほどの大荷物がある場合を除き、すべてを機内持ち込みにするのが基本。手荷物として預けると、到着後の機動力が落ちる。

 このため、飛行機を使う場合は、「頭のいい荷物」と「頭の悪い荷物」ともにコンパクトにまとめる。1~2泊の短い出張の場合は、「頭の悪い荷物」を極力圧縮して「頭のいい荷物」の中に押し込む。

 朝、大都市の空港を発つ便は、時刻表より20~40分遅れて到着することを織り込んでおく。滑走路が混雑していて、なかなか離陸できないことが常態化しているからだ。

●新幹線の選び方

新幹線

新幹線

 新幹線は、前日までに何が何でも座席指定をしておく。自由席では思うように座れないことがある上、一旦席をはずしたら誰の席とは言えなくなるので、トイレや売店にも立てない(置き引きにあうのを覚悟で座席に荷物を置いて行く手はある。ただし西日本等では通用しないことがある)。

 なお、熱海に停車するひかりは非常に混雑する上、マナーの悪いお客も多いので極力避ける。

 数名で移動するグループが座席を向かい合わせにして駄弁ったり明るいうちからビールを飲りだしたりすることがあるが(胸元で立派な会社の徽章が光ってたりしますが)、自分の座席が知らない人たちによってそのようにされそうになった場合、嫌ならきっぱりと「遠慮してください」と断る。

 新幹線は早朝の便はビジネスパーソンが多く、社内が比較的静かで利用しやすい。9時台、10時台などのなまけた時間の便だと“母と子”といったお客(旅慣れていなくて、車中他者への配慮が行き届かない人も多い)が増え、到着までの間ずーっと小型ゲーム機の電子音に悩まされることがままあるので覚悟が必要。

●船

船

 陸路、空路の選択肢があるなら、往路で船は選択しない。特に、水中翼船(ジェットフォイルを含む)、ホバークラフトの類は選択しない。天候により、欠航、遅れが考えられるからだ。

 後は家に帰るだけの帰路なら、気分転換に選んでもいい。

●タクシー

 地方都市では、“流し”のタクシーをつかまえるのが困難な場合がままある。郊外の国道沿いなどではまず無理。

 タクシーは駅前で拾うか、電話で呼ぶものと考えておいた方がいい。

 そこで、駅周辺で、タクシー会社の電話番号をチェックしておくのがよい。往路のタクシーで領収書やタクシーカードをもらっておいて、電話番号を確保する手もある。

 もちろん訪ねた先でタクシーを呼んでもらえばいいのだが、前後の事情で頼みにくい場合もあるし、呼んでくれたついでにタクシーチケットをおごられて、思わぬ“借り”を作ってしまうこともある。

 自分の足は自分で確保しておくのが原則だ。

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